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王国のコラム

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こだわり人[2011.10.31]

アナログとデジタルのカップリング / 倉嶋 正彦 氏

 伝統へのこだわり、新しいものへのこだわり。その創造力と表現力は尽きることなく、新しい価値観を次々に開花されている、"モノづくりのこだわり人"たち。さまざまな観点を世界津々浦々に発信される「こだわり人」として新たに本コラムにてご紹介してまいります。
 第一回は、ビジュアルクリエーター・文京学院大学 経営学部 准教授としてご活躍される倉嶋正彦氏を取り上げます。

こだわり人 ファイル001

  アナログとデジタルのカップリング
倉嶋 正彦 氏  ビジュアルクリエーター

文京学院大学 経営学部 准教授
イメージ・リテラシー研究ゼミ
http://mksemi.main.jp/

アナログとデジタルの融合したコミュニケーション時代に一段と拍車がかかる。いったいこれから先、どのようなコミュニケーションワールドが創出されていくのか期待が期待を呼ぶばかりである。倉嶋正彦氏56才。ビジュアルクリエーターとして自らの作品づくりに情熱を傾ける傍らで、文京学院大学 准教授として時代を背負った若い世代に温かいまなざしを送っている。

[左上・右] 個展「銀座計画」より copyrihgt M Kurashima 2011
[左下] 同DMよりcopyrihgt M Kurashima 2011

 "従来的な、また固定的な概念にとらわれない自由な発想が大切だ"。こう話す倉嶋氏のこだわりは際限ない。自分の五感や身体で受け止めた感触をデジタル技術によってビジュアル化する。言葉を変えると、自分の心の中にあるアナログ的感性をデジタル技術との融合によって新しい空気観を創出。それによって自分の感性や感覚をさらに高みに引き上げると共に見る人の心の中にある感知能力を刺激してイメージの増幅、拡大を誘っていこうとするものである。"超細密"と言う言葉で代表されるビジュアルは、まさに自分の心の中にある豊かな感性と研ぎ澄まされた最先端テクノロジーが一つのキャンバスの中で見事な舞を見せている。
だから彼をして、"マインドアタッカー・アーティスト"と呼ぶ人もいるそうだ。それを受けて倉嶋氏は言う。"頭に浮かんだイメージがいったいデジタル技術によってどこまで具現化できるのか、こんな奥深いテーマはありませんね"。いま、ピクセル数に依存しない、いわゆるベクトル画像で編集するドローイングソフトをメインに使用した新たな表現を模索中。年内にプレ個展の開催を予定されている。

[左]ASIAGRAPH 2004 横浜展 1辺4Mの作品と作者
[右]ASIAGRAPH 2006 横浜展 シリーズ3作品(全て1辺4M)の展示風景

 倉嶋氏は1975年、イラストレーター、グラフィックデザイナーとしてデビュー。旺盛な好奇心は止まらず'78にアメリカへ。そこでNYビデオアートシーンに触れ、1年間滞在。帰国後、パソコンを使ったアート作品の制作を始められたのである。まだ作画ソフトがない時代だったが、その独創的な表現力は徐々に磨き上げられ、'89に日本TV[巨泉のこんなモノいらない]の番組タイトルを制作。翌'90からはやはり日本TV「知ってるつもり!?」で約10年間、番組タイトルを制作されたのである。
 その後、2007年から文京学院大学 経営学部の准教授に着任されると共にビジュアルクリエーターとして、まさにこだわりのある独創的作品を発表されてこられたのである。

コンテンポラリーダンスをテーマにした作品「DANCE WIND」、超細密デジタル静止画作品「PATENTE Visual Wonderland」、画家のイメージ映像作品「視而不見」など。そこに込められた熱いメッセージに、氏の存在感を改めて印象深いものにしたのである。

[左]Patente Visual Wonderland No05 copyrihgt M Kurashima 2011
 [右]Patente Visual Wonderland No04 copyrihgt M Kurashima 2011

 "ビジネス、教育、ホーム、社会にデジタル技術が着実に根付いていったようにアートの世界におけるデジタル技術は、長い地球史から見ればまだ緒に就いたばかりです。いま着実に浸透、拡大するデジタルサイネージなどとコラボレーションすることによってデジタルアートの世界は革新的に変貌を遂げていくのではないでしょうか。無限の可能性がありますね"。倉嶋氏の想いは尽きない。時代は創るから、面白い。氏のそんな想いが先頃も「銀座計画」と言う作品になって紹介されたのである。

文 : 坂口 利彦 氏

作品事例

2011年 個展「銀座計画」 東京、銀座
  Design Style Exhibition vol.10 ~新たな感性の共振~  東京、茅場町
2010年 ASIAGRAPH 2010 東京、日本科学未来館
2009年 SIGGRAPH Asia 2009  神奈川、パシフィコ横浜
  ASIAGRAPH 2009 東京、日本科学未来館
2008年 ASIAGRAPH 2008 東京、日本科学未来館
2007年 ASIAGRAPH 2007 東京、秋葉原 UDX
2006年 横浜EIZO2006 神奈川、ZAIM
  ASIAGRAPH 2006 神奈川、県立県民ホール
2005年 ASIAGRAPH 2005 愛・地球博展
  文化庁メディア芸術祭2005 東京、東京都写真美術館
2004年 CGの美術展 「ASIAGRAPH」 東京、京橋
 

ASIAGRAPH 2004 神奈川、県立県民ホール