こだわり人[2015.10.10]
動きを創造するこだわりの技術。 スガツネ工業の『モーション デザインテック』
“『こだわり人』面白い。モノづくりにこだわる人に教えられる”というメールを、建築雑誌社の方からいただいた。そして、その後に“ところで、スガツネ工業のショールームリニューアル記念という新製品発表会を拝見したが、スガツネにもすごいこだわりの商品があるじゃないか、紹介したら”と綴られていたのである。灯台下暗しということか。私の中ではあまりにも日常化していた『モーション デザインテック』に強烈な印象を持ったと言われるのである。
昭和5年、東京・神田江川町(現・東神田)で産声を上げたスガツネ工業が創業85周年を機に、ショールームをリニューアルしたのだが、そこで紹介された『モーション デザインテック』にこのような応援メッセージをいただくとは、本当に有り難いものだ。
私も会場でその賑わいに釘付けになったが、確かにスガツネ工業が一押し二押しする自慢の商品だ。
ということで、今回はいささか手前味噌だと思ったが、スガツネ工業のオリジナル技術から生まれた『モーション デザインテック』に着目させていただいた。
■こだわり人 ファイル042
動きを創造するこだわりの技術
スガツネ工業の『モーション デザインテック』
●昭和5年の創業地にあるスガツネ工業の東京ショールーム
スガツネ工業の東京ショールームに立ち寄られたことがおありだろうか。昭和5年の創業地(神田江川町=現在の東神田)にあるということで思い入れも大きく、業界最大の展示スペースでお客様を迎えている。JR神田駅から徒歩5分、JR秋葉原駅から6分、地下鉄新宿線岩本町駅から徒歩1分などなど。アクセスにも恵まれているので是非、立ち寄っていただきたいものだ。

私自身ももう何度も立ち寄っているが、いつ行っても新しい発見があるので、ついつい長居をしてしまう。今回のリニューアルされたショールームにはスガツネ工業の二本柱の一つであるアーキテリア系の製品が、また、その隣のビルに開設されたショールーム(※)にはもう一つの柱であるテクノフィールド系の製品が揃い踏みだ。
業界最大規模の展示場スペースで2万点を越える製品には「なるほど、なるほど」の連続だ。しかも各フロアーが製品体系別に、また業種を意識して展示されているので、お目当ての製品にすぐに立ち寄れるし、ついでにあれもこれも見ていこうという製品ウォッチングができるので、多様な製品情報が一気に入手できるというものだ。
※ 東京ショールーム別館を、ご見学希望の際はショールーム本館、受付へお申し付け下さい。
●毎日の生活の舞台裏を支えるニューテクノロジー

『モーション デザインテック』は、リニューアルされたショールームの6階で、その多彩な機能が紹介されている。"Mothion Design Tec"というロゴマークにもこだわりがあり、いやがうえにも期待感をあおられる。
となると、その全容を知りたいというもんだ。『モーション デザインテック』の展示模様をweb公開させていただこう。

やはり気になるのは『モーション デザインテック』言葉の意味だ。日本語に訳すると、モ-ション=動き、デザイン=創造する、テック=テクノロジーということだから、動きを創造する技術ということである。

さらに詳しく「モーション デザインテックとは?」
すると、こちらのもっと知りたい欲求を察知されたインストラクターの方が寄って来て、説明されたのである。
「ちょっと私たちの身の回りを見てください。職場でしかり、家庭でしかり。私たちの毎日は部屋の扉の開け閉めを初め、家具や什器や箱物の開けたり閉めたりの連続ですが、その開け閉めにあまりにも無頓着すぎませんか。パターンという耳障りな音、思わず指を挟んだという経験。また、重い扉を何度も開け閉めするわずらわしさ、食品などの出し入れの清潔で安全な管理、運用などなど。
裏を返せば、それらをいい加減にすればストレスになるし、ミスにもなるし、トラブルにもなるということですね。『モーション デザインテック』はまさにそれらを解決するために生まれた技術です。作業効率の向上、快適な作業の流れ、装置や設備や空間に、より人間的な付加価値をもたらすことをめざしているんです」
なるほど、私たちの毎日の生活を舞台裏で支える製品であることがよくわかる。そこには、“あなたの時間をもっと大切に使ってください”というスガツネ工業ならではの温かいメッセージが込められているのだ。
●5つの動きに対応した多彩な製品ラインアップ
6階ではこんなこだわり技術を具体化した製品ということでその大要が展示されているので、その詳細を伺った。すると、インストラクターに「現在は5つの角度から製品を体系的に展示していますので」と言って各展示エリアに案内されたので、拝見したそれぞれの特徴を紹介しておこう。

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ゆっくりうごく
ソフトモーション扉や蓋、引き出しの閉じ際、開き際のスピードを抑える。
どこでもとまる
フリーストップモーション開閉中の扉や蓋、カバーを任意の位置で止める。
かるがるひらく
パワーアシストモーション重い扉や蓋、カバーの開閉を補助する。
カチッととまる
クリックモーション開閉中の扉や蓋、カバーを独特の感触と共に一定の角度で仮保持する。
あちこちひらく
ユニークモーション扉など、開閉の軌跡のバリエーションを広げる。

見て、聞いて、自分の手で確かめて。
『モーション デザインテック』のこだわりを改めて体感した。見れば見るほど私たちの毎日の暮らしの舞台裏を支える技術の深さに感服だ。同時に、この技術に拍手を送ってくれた先の編集者に感謝だ。
すると、インストラクターの方が「この技術や個々の製品については、さまざまなツールで紹介していますので是非、ご覧ください」と言われたので、そのツールを紹介しておこう。
- ● 製品を探す
- ... 専用カタログ
- ● 製品を検討する
- ... CADデータダウンロード
- ● 動きを見る
- ... スガツネチャンネル
- ● 製品を運ぶ
- ... 選定ツールさスガくん

「専用カタログはもちろんタブレットからもご覧頂けるし、アプリのiCataでは、よく使うカタログを『持ち出し保存』をしておくことでオフラインでも快適にカタログが見られます。」とのことで、外部でも詳細情報がチェックできる。
●第一線の著名な空間クリエイターも絶賛
ところで、この『モーション デザインテック』について建築家やインテリアデザイナーなど空間クリエイターはどのように受け止めておられるのだろうか。気になった私は、今回の新製品発表会の一環として開催された『スガツネセミナー』の講師として出演された橋本夕紀夫氏(東京工芸大学 教授)、山梨知彦氏(日建設計 執行役員・設計部門代表)、小坂竜氏(乃村工藝社<A.N.D>クリエイティブディレクター)等々に伺ってみた。すると、押しなべて、言われるのである。
「まさに、見えないところのこだわりですね。縁の下の力持ちです。私たちの作る空間はこのような技術、製品によってたくましく息づくし、一つの時間の流れが作れるんですよ」
“縁の下の力持ち”。嬉しい言葉だ。というのは、スガツネ工業は代表取締役社長の菅佐原 純 氏を初め全社員が常日頃から「表舞台で目に見えて華々しく活躍する製品があります。だがそれとは反対に、目立たないけど普段の生活を支えている“縁の下の力持ち”という製品があります。それをお届けするのが私たちのミッションです」という言葉をよく口にされるからである。

スガツネ工業のブランドマーク『LAMP』マークはよく知られるところだが、
まさに舞台裏から、世界の毎日の暮らしに明るい光明を投げかけているのだ。
となると、『モーション デザインテック』以外の製品や技術も見ておきたいということだ。隣り合った二つのショールームの様子を下記にまとめて紹介しておきますので、その生の姿をご覧ください。


先の小坂 竜 氏と一緒に今回のショールームをくまなく見て回ったのだが、帰りにこんな言葉を言われたので最後に紹介しておこう。
「これからは、“岩本町詣で”をしなくてはなりませんね。インターネットなどのバーチャルも大事ですが、やっぱりこの目で、手で触れることですね。リアルですね。テレビで隅田川の花火などを見て“凄い”と言われても実感がないですよね。川辺で光を見、音を聞き、周りのどよめきの声を耳にすることによって身体が自然とときめきますよね。本物を目の前にすると、こんなことができないか。あんなことに使ってみたいと、イメージがどんどん膨らんでいくんですよ」
<ワンポイント> 全国5か所のショールーム、是非ご覧ください!
スガツネ工業のショールームは現在、全国に5か所あります。『モーション デザインテック』を初め多彩な製品をラインアップしていますので、足を運んでみてください。
文 : 坂口 利彦 氏